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個別指導の弁護士立会いの根拠

 残念ですが、健康保険法等には、個別指導の際、弁護士の立会いを認める規定はありません。

 しかし、個別指導も「行政手続」ですから、憲法上、保険医には、適正な手続を受ける権利(憲法13条)があり、それを具体化する行政手続法でも、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図ることが求められています(行政手続法1条1項)。
 そこで、保険医には自ら選任した弁護士を個別指導に立ち会わせる権利があると考えるべきです。

 そして、実際、厚生局は、弁護士の立会い(厚生局は「帯同」といいます。)を認めています。
 そのことを、内部的に通知したのが、平成23年10月26日付け各地方厚生(支)局医療課長あて厚生労働省保険局医療課医療指導監査室長事務連絡「保険医療機関及び保険薬局並びに保険医及び保険薬剤師に対する個別指導及び監査における弁護土の帯同がある場合の対応について」です。
 この通知を、現場の厚生局職員が知らず、弁護士の立会いを拒否しようとする場合もあるようですが、この通知を指摘することで、結果的には、弁護士の立会いは認められています。

 ちなみに、この通知では、保険医に、「①弁護士には発言・質問等が認められないこと」、「②弁護士の発言・質問等により個別指導等の円滑な進行等を妨げると判断された場合には、退席を求めること」を承認させた上で、個別指導を行うとされています。
 しかし、実際には、弁護士が、「異議・苦情等」を述べる場面が想定されています。この通知には、「訟務専門員を個別指導等に出席させ、帯同する弁護士からの異議・苦情等に適切に対応する」との記載もあり、弁護士が「異議・苦情等」を述べることを前提としているのです。
 厚生局職員が、憲法や行政手続法の規定・趣旨に反し、適正手続に反する言動をとる場合に、弁護士が「異議・苦情等」を述べることは、個別指導の「円滑な進行等を妨げる」とはいえず、当然に認められると考えられます。