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医療過誤

増えている医療過誤事件

最近、テレビや新聞で医療事故のニュースを見ることが多くなってきていると思いませんか。
裁判所の統計上の医療訴訟の件数は、年ごとのバラツキはあるものの、2004年をピークに減少傾向にあるようです。
しかし、当事務所が扱う相談件数は増えてきていますし、全体として、裁判によらない交渉での解決が増えてきているような印象があります。

医療の問題は、専門家でない患者には分かりにくいことに加え、以前は、医師に全てを任せればよいという患者側の意識が根強く、医師や病院の責任を問うことなどとんでもないと考える傾向が強かったようです。
しかし、最近は、自分が受ける検査や治療について、その目的や危険性などを十分理解した上でどのような医療を受けるか自分自身で決めるという考え方が浸透してきたことを背景に、適切な医療がなされなかった場合には、病院への責任を問いたいという患者・遺族の声が大きくなっているといわれています。
そういった事情も、最近の医療過誤事件の相談の増加につながっているのではないかと思います。

しかし、まだまだ、どこへどう相談すればいいのかも分からず、埋もれている医療過誤事件は多いのではないでしょうか。
疑問に思われるところがあれば、ともかく医療過誤事件を数多く扱っている弁護士の相談を受けてみることをお勧めします。
当事務所は、医療過誤を主な取扱事件としており、そのような相談に積極的に応じています。

当事務所の立場

当事務所は、開設以来、医療問題研究会に所属し、患者側の立場から医療過誤事件に積極的に取り組んできました。

医療過誤事件は、医学の専門的な知識が必要になるので、医師の協力が不可欠ですが、当事務所の弁護士が所属する医療問題研究会では、協力医の意見を受けることができます。
個人的なつながりで、相談できる医師もいます。
また、事務所として、基本的な医学文献は購入していますし、医学文献のデータベースとも契約を結んでおり、最新の医学知識にアクセスできる体制を整えています。

その結果、当事務所では、再発防止のための改善策を病院に約束させたり、金銭的な賠償を勝ち取ったりといった数多くの成果を上げてきました。
その中には、広くテレビや新聞で報道された事件もあります。

ただ、当事務所の立場は、やみくもに医師や病院に賠償金を支払わせればよいというものではありません。
医療側、患者側双方が十分なコミュニケーションと努力により安全な医療を実現する、そのお手伝いをしたいというのが基本的な考え方です。
そのために、当事務所の弁護士は、病院の事故原因調査委員会の第三者委員に就任したり、医療機関や大学医学部で医療の安全について講演、講義等を行ってもいます。

医療過誤事件の進め方

医療過誤事件の進め方は、弁護士や事務所によって、いろんなスタイルがあるようです。

当事務所では、長年にわたる数多くの事件処理の経験から、次のような進め方を基本としています。

1.ご相談の予約

まず、電話やメールで相談の予約を入れていただきますが、その際、病状や医療の経過等を相談カードに記入していただき、手元にある資料(死亡診断書、診断書、紹介状、検査結果票、母子手帳等)と一緒に事前に送っていただくようにお願いしています。
弁護士は、これら資料により、相談前に基礎的な医学知識の確認と問題点の把握をして相談に臨みます。

2.ご相談(1回目)

相談カードや資料で不足する病状や医療の経過等を確認し、問題点を明らかにすることに努めます。
なお、相談料(30分5,000円、1時間1万円(消費税を除く))が必要です。

3.文献調査・事例検討

その結果、整理された問題点について、初回相談終了後、基本的な医学文献にあたり、また、医療問題研究会の事例検討にかけます。
ここで、医師や他の弁護士からの意見もふまえ、その段階での一応の見通し(医療に落ち度がありそうか。やむを得ない結果だったか。)をたてます。

4.ご相談(2回目)

初回相談後の検討結果を報告しますが、医療側に落ち度がなさそうであれば、その点を詳しく説明し、理解してもらった上で、相談を終了します。
医療側に落ち度があるかもしれない場合には、更にカルテ等の医療記録の検討が必要なことを説明し、どのようにしてカルテ等を入手するかを協議し、決めます。
ここでも、相談料(30分5,000円、1時間1万円(消費税を除く))が必要です。

5.カルテ等の入手・検討

以前は、病院が患者側にカルテ等を渡すことに消極的でしたし、カルテ等の書き換え(改ざん)のおそれがあったので、裁判所の「証拠保全」という手続によりカルテ等を入手する場合がほとんどでした。
しかし、最近は、病院がカルテの開示に応じるようになったので、多くの場合、証拠保全は使っていません。
確かに、証拠保全によった方が改ざんの危険は少ないのですが、証拠保全は別途の費用がかかるので、証拠保全を選ばない方が増えています(当事務所の場合、カルテ等の任意の開示を受けた上での調査の費用は、原則として30万円(消費税を除く)ですが、証拠保全を行う場合は、別途10万円(消費税を除く)が必要です)。
もちろん、カルテの開示の手続も、当事務所でお手伝いします。

そうしてカルテ等を入手した後、カルテ等を読み込み、その問題点を更に詳細に検討します。
カルテ等は、英語、ドイツ語等が多く使われており、その読み込みには、カルテ等の分量にもよりますが、かなりの時間がかかります。
この段階では、それまでに参照していた基本的な医学文献に加え、ガイドラインや医学雑誌の論文・症例報告等の更に詳細な医学文献の検討も必要になり、それにも相当の時間がかかります。
また、その分野の専門医の意見を聞く必要の出てくることも多く、そのために、県外の医師に意見を聞きに行くこともありますが、その日程の調整だけでも大変です。

このように、カルテ等を入手してからの検討が、医療過誤事件では一番時間と手間を要するところで、かなりの期間、相談者の皆さんにはお待ちいただくこととなります。
早くても数か月はかかりますし、難しい事件では、半年から1年程度かかる場合もあります。

6.交渉

カルテ等の検討の結果、医療側に落ち度がありそうだということになれば、多くの場合は、交渉事件として受任し、当方の見方をまとめた損害賠償を請求する文書を病院側に送付します。
なお、交渉段階の着手金は、請求額によって違ってきますが、当事務所では、着手金が高額になる場合、50万円(消費税を除く)を一応の目安としています。
5の調査からの引き続きの受任ですと、差額の20万円(消費税を除く)をお支払いください。
なお、賠償が得られた場合は、その際、賠償額を基準として計算した着手金との差額(不足額)を精算していただきます。

請求を受けた病院は、医療過誤保険に入っていますから、保険が使えるかどうかの検討に入ります。
この検討にも長期間を要するのが通常で、回答が返ってくるのはかなり後(数か月から半年程度)になっているのが実情です。

回答の結果、病院側が責任を認めた場合は、損害額の交渉に移ります。
病院側が責任を認めない場合でも、「見舞金」として、少額の支払を提案してくる場合も少なくありません。
その結果、話合いがまとまれば、和解書を取り交わし、支払を受けて事件を終了しますが、その際、医師や病院側の謝罪の言葉を書き込んだり、今後の事故防止策を約束させたりといったこともあります。

7.裁判

交渉がまとまらない場合、患者・遺族の意向により、裁判に踏み切ることとなります。
その場合は、費用の点はもちろん、裁判の見通しについても、十分説明を行ない、納得していただいた上で裁判に臨むこととしています。
なお、訴訟段階の着手金も、請求額によって違ってきますが、当事務所では、着手金が高額になる場合、100万円(消費税を除く)を一応の目安としています。
6の交渉からの引き続きの受任ですと、差額の50万円(消費税を除く)をお支払いください。
なお、賠償が得られた場合は、その際、賠償額を基準として計算した着手金との差額(不足額)を精算していただきます。

ただ、裁判になると、それまでのカルテ等の検討や交渉の際の相手方の主張とは異なった争点が出てくることも多く、必ずしも事前に十分な見通しを語れないことも多いのが実情です。
医療訴訟は、通常の訴訟に比べると複雑ですし、証拠も多いので、審理には長期間を要するのが普通です。
裁判所も弁護士も医療訴訟に慣れてきたので、以前に比べれば随分短くなってきてはいますが、最近の裁判所の統計によると2年くらいかかっています。
当事務所では、十分な準備をしてから裁判に進むので、それよりも早く終わる例が多いようです。

特に、医療訴訟で特徴的なのは、鑑定の手続です。
専門医に、適切な医療だったかどうか、治療行為と死亡や障害の結果との関係の有無等を尋ねる手続ですが、これにも裁判所に納める費用(50~100万円程度が多いようです)や時間(数か月程度)がかかります。

こういった審理が進んだ段階で、多くの場合は、裁判所から和解の提案があります。既に審理が進んでいる段階ですから、裁判所は一応の心証を得ており、この段階での和解提案は重視せざるを得ません。
そこで、かなりの数が、和解で訴訟を終わることとなります。
それでも和解できなかった場合が判決に至るわけです。