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相続について考えてみませんか

「遺言書作成」と「先延ばしになっている遺産分割解決」のすすめ

1.遺言書作成のすすめ
『相続はもめる。』?

みなさんも「相続はもめる」という話を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
実際に相続はもめます。当事務所は創立19年になりますが、相続事件は常に相当な件数を受任しています。

「他にも預金があったはずだ。」とお互いに泥棒呼ばわりする。
「亡父から電話があって、長男から虐待されていると聞かされた。」
「昔、パチンコで借金をして、親に泣きついた。」
などと余り関係のないところでののしりあい、「兄弟の縁をきる」と宣告することもあります。宣告しなくても、多かれ少なかれ絶縁状態となります。

『まだ元気だから、今しなくてもいい。』?

「相続はもめる」と言われていながら、多くの人は遺言書を遺すなどはしていないのが実情です。
「まだ元気だから、今しなくてもいい。」「自分は財産がないから必要がない。」という考えの人が多いようです。

しかし、それはよくありません。
人間だれでも、いつ、何があるかは分かりません。段々と衰えていき最期に老衰で亡くなる人もいますが、脳梗塞や事故などで、ある日突然に字も書けず、難しいこともできない状態となることも多いものです。そのときになって、「さて、遺言書でも書こうかな。」というのは大変です。判断能力が低下して、遺言書を遺そうにもできなくなることもあります。

遺言書はむしろ『元気なうちに書くもの』とも言えそうです。

『自分は財産がないから必要がない。』?

「自分は財産がないから必要がない。」と思っている人も多いようです。本当にそうでしょうか?
本当にほとんど財産・債務がなかったり、相続人が一人しかいないような場合は、確かに遺言書は余り必要ないと思います。

しかし、数百万円の財産(預貯金など)や不動産がある場合は、遺言書を遺すべきです。数百万円というお金は、特に教育費や住宅ローンで苦しむ若い世代にとっては大金です。実際に、数百万円の相続で深刻な揉め事になっている事例はたくさんあります。

不動産については、お金のようには分けられないという問題があります。
お金であれば、100万円を5人で分けるということが可能です。しかし、例えば土地の場合、5つに分割して分けるというのは、よほど広い土地でない限りは現実的に無理です。また、遺された配偶者(妻、夫)が住んでいる家は、配偶者に相続してもらいたいという希望などもあると思います。
さらに、不動産には登記名義を移転しなければならないという問題もあります。「価値のない田舎の田畑しかないから。」という人もいますが、名義の移転のために遺言書は必要です。遺言書がなければ、一度相続人全員の名義に変更し、それから相続人全員で遺産分割協議をして、相続人全員の印鑑証明書を添付してもう一度名義の変更を申請するのが原則です。一人でも協力してくれない人がいれば、登記はできないままになります。
これに対して、例えば「畑は長男に相続させる。」という遺言書があれば、長男が一人で登記することができます。

遺言書では、「特別受益の持ち戻しの免除」というものができます。
「特別受益」とは、例えば相続発生前にマンション購入の頭金をもらっていたなど、すでにお金をもらっている人(特別な利益を受けた人)は、相続の際に取り分を減らされるというものです。「特別受益」についても、「もらった」「もらっていない」と揉め事になることがあります。
遺言書で「特別受益については持ち戻しを免除する。」と記載すれば、揉め事を回避できます。

『そうは言っても難しそう。』?

確かに難しい部分もあります。ただ、多くの場合は、弁護士など専門家の支援があれば、それほど難しくありません。

遺言書は、内容全文・氏名・日付(年・月・日が必要)を自筆で書き、印鑑(認印でよい)を押せばできあがりです。紙も筆記具も封についても法律上の制限はありません。

例えば

○○市○○町1番1号の土地と家屋は妻田中花子に相続させる。
その他の財産は、法定相続人に法定相続分に従って相続させる。
平成22年1月1日 田中太郎 印

と紙に書けば遺言書は完成です。

実際には、「土地と家屋については、法務局で登記事項証明書を取得して、登記簿上の地番や家屋番号を書く」とか、「『その他の財産』をできる限り列記する。」などの必要がありますが、それがなくても遺言書は有効です。

なるべく後でもめないようにと考えれば、詳細かつ専門的な文章にするべきで、弁護士など専門家の支援が必要です。また、自筆のものより、公証人に作成してもらう公正証書遺言の方がより安心です。しかし、『考えすぎて書かないまま』になるよりは、『ないよりマシ』と気楽に考えてみることも、必要ではないでしょうか。

ざっと書いて、弁護士に相談すれば、思っているよりも簡単に遺言書は作成できるものです。


2.先延ばしになっている遺産分割解決のすすめ

「相続したけれども、土地などの名義はそのまま」といった話は、たくさんあります。

遺言書がない場合、不動産の名義を変えるためには、相続人全員で遺産分割協議書を作成し、印鑑証明書を添付して、法務局に名義の移転を申請しなければなりません。そのため、一人でも協力してくれない人がいたり、連絡がとれない人がいると、そのままになってしまいます。

そうするうちに、相続人も他界してしまって、さらに相続人の相続人が相続し、さらに相続人の相続人も他界して・・というように第二次相続、第三次相続が発生し、段々と会ったこともない人や、海外に住んでいる人などが相続人となり、数が増えていきます。要するに、時間が経てば経つほど難しくなるのです。

建物が古くなり、倒壊の危険が出てきて取り壊さなければならなくなるなどして、あわてることになりかねません。また、時間が経てば記憶も薄れ、資料もなくなっていきます。

次の世代に問題を先送りするのを避けるため、一念発起して弁護士に相談してみましょう。


原総合法律事務所では、皆様に遺言書の作成や相続問題の解決を勧めており、セミナーを開催するなどしてきました。また、無料相談もご利用いただけます。遺言相続について、相談をご希望の方は、当事務所へお気軽にご相談ください。

相続・遺言については、こちらにも詳しく記載しています。ぜひ参考になさってください。