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高齢社会が進むにつれ、高齢者の財産管理や消費者被害がより深刻な問題となっています。
特に、遺言の有効性や訪問販売のトラブルなど、法的な理解が不十分なまま問題が発生するケースが少なくありません。本記事では、具体的な相談事例をもとに解説します。
ホームヘルパーとして担当していた80歳の一人暮らしの方が急逝し、遺品の中から遺言書が見つかりました。
内容には「お世話をしてくれた〇〇に全ての財産を譲る」と記載されていたものの、家族は遺言の無効を主張しています。どう対応すればよいのでしょうか?
遺言書には 「公正証書遺言」 と 「自筆証書遺言」 の2種類があります。
公証人が、面前で作成者に意思確認した上で作成するため、後から無効になる可能性は、一般的には低いと言えます。
現在、公正証書遺言のデジタル化に向けた準備が進んでおり、将来的には電子署名やデータ保存の仕組みが導入される見込みです。
細かい要件を満たさないと無効になるため、注意が必要です。
なお、法務局で保管できる制度が導入されており、適切な手続きを踏むことで、自筆証書遺言でも検認を不要とする制度が整備されました。
上記事例は、自筆証書遺言となるでしょうが、自筆証書遺言に求められる要件が満たされているのか、内容の精査が必要です。
公正証書遺言か自筆証書遺言か、いずれを選択すべきかは、専門家である弁護士の助言を受けることが推奨されます。
後のトラブル防止の観点からは、特別の理由がなければ、公正証書遺言を推奨することが多いです。
担当している75歳の一人暮らしの男性宅を訪れると、布団が新しくなっていました。
押し入れを確認すると、さらに3組の布団があり、訪問販売で購入したことが判明しました。過剰な買い物と感じますがが、どう対応すればよいのでしょうか?
高齢者を狙った悪質な訪問販売の事例は増加しており、布団、健康食品、健康器具、呉服などが問題視されています。
不当な契約を取り消す方法はいくつかあります。
もし騙されて購入した場合、詐欺を理由に契約の取消しが考えられます。
商品内容を十分に理解せずに契約した場合、錯誤による取消しが考えられます。
不当な勧誘による契約は、消費者契約法による取消しが考えられます。
もしも成年後見人を選任していれば、日常生活に関する行為を超えた契約であれば、後見人によって取消しが可能です。
悪質商法と考えられる場合は、まずは消費生活センターや弁護士に相談することが望ましいです。
高齢者の財産管理については、新たな制度が導入され、より柔軟な対応が可能になっています。
例えば、介護や看護をしていた相続人以外の人が一定の金銭(特別寄与料)を請求できる特別寄与制度が整備されました。
また、配偶者が亡くなっても住み続けられる配偶者居住権が認められるようになり、高齢者の生活を安定させるための仕組みが整っています。
高齢者の財産管理や消費者被害は、適切な知識を持つことで防ぐことができます。
高齢者の生活を守るための事前の準備や事後的対応には、法的な知識も必要です。
適切な法的手続きを念頭におきながら対応を進めることとなります。