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ホーム > 法律の話(ブログ) > 相続・遺産・後見人 > 高齢者の財産管理に関する相談事例と法的な解決策~一人暮らしの高齢者を支える仕組み~
高齢化社会が進展するなかで、一人暮らしの高齢者が直面する財産管理上の課題が顕在化しています。特に、判断能力や身体能力の低下により、自力での預貯金・不動産・重要書類の管理が難しくなる場面が増加傾向にあります。こうした背景から、家族や専門家による支援体制の整備が一層求められています。
本稿では、実際の相談事例をもとに、弁護士として現場で提供している具体的な支援方法についてご紹介いたします。
長崎市内にお住まいの75歳の男性より、財産管理に関するご相談が寄せられました。ご本人は数年前から一人暮らしをされており、近年、物忘れが目立つようになったと感じていらっしゃいました。通帳や印鑑を紛失する不安から、「信頼できる第三者に保管してもらいたい」とのご希望をお持ちでした。
しかし、こうした対応を家族や知人に一任した場合、後日のトラブルや法律的リスクが生じることもあります。たとえば、預金の引き出しをめぐる権限の不明確さ、不正利用への懸念、相続時の紛争などがその一例です。このような背景のもと、より適切で法的に整った財産管理の方法を検討する必要があります。
高齢者の判断能力や支援の必要性の程度に応じて、以下のような制度が利用可能です。
判断能力が著しく低下している場合には、家庭裁判所に申し立てることにより成年後見人を選任することができます。後見人は財産管理や法律行為の代理を行い、高齢者の権利保護に資する制度です。ただし、この制度の対象は原則として、医師の診断等により「判断能力が著しく低下している」と認められた方に限られます。
判断能力の低下が軽度であり、成年後見制度には至らない場合には、各地の社会福祉協議会が実施している「日常生活自立支援事業」の利用が可能です。この制度では、通帳や印鑑の保管、収支管理等の日常的な金銭管理を中心に、専門職が支援を行います。ただし、制度の利用には一定の要件があり、身体的理由のみでの支援は対象外とされることもあります。
判断能力に問題はないものの、信頼できる親族がいないなどの理由から、財産管理を専門家に委ねたいというご希望もあります。このような場合には、弁護士との間で財産管理契約を締結し、適法かつ安心な方法で日常的な財産管理を委任することが可能です。
また、当事務所では「見守り契約」を導入しており、定期的な連絡や面談を通じて高齢者の生活状況を確認し、必要に応じて任意後見契約・遺言書作成といった将来的な法的支援に円滑に移行できる体制を整えています。これにより、高齢者が安心して日々の生活を送ることができるサポートを提供しています。
高齢者の財産管理は、法律だけで完結する問題ではありません。医療・介護・福祉といった他分野の専門職との連携が不可欠となります。そのため、どの機関に相談すべきか分からず、対応に悩まれるご家族も少なくありません。
そこで、原総合法律事務所では、地域の医療・福祉・介護・金融分野の専門家と連携し、問題解決に向けた総合的な支援を行っております。その一環として「お困りごと案内ダイヤル」を開設し、財産管理や相続、医療・介護に関するご相談をワンストップで受け付けております。
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