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「過払い金」にまつわる最近の話題

過払の返還請求については、当ホームページでも紹介していますが、過払い金の請求や貸金業者について最近の主だった動きについて、報告してみたいと思います。

○最高裁の新たな判決
「過払い金の時効は、取引終了時から進行する」
平成21年01月22日判決 平成21年03月06日判決

これまで、貸金業者は、過払い金の時効は発生したときから進行すると主張して、10年以上前の過払い金は返さないと主張することがありました。
しかし、この判決により、10年以上前に過払いになっていても取引が終了してから10年がたっていなければ、消滅時効は成立しないことになりました。

○貸金業者の新たな主張
「過払い金の利息は、取引終了まで発生しない!」
最近、新たに登場してきた主張です。
過払い金には、5%の利息をつけて返還しなければならないと考えられています。
5%の利息が少額で重要でないことも多いですが、例えば10年前に過払いになったときがあるような場合、利息をつけるかどうかで数十万円の違いが出ることもありえます。利息計算の基本になる元本が数千円減るだけでも、10年分積み重なると大きな額になるからです。
この「過払い金の利息は、取引終了まで発生しない」という主張の根拠は色々ですが、簡単には認められない主張だと思います。
ただ、このような主張をされることで、過払い金回収までの期間が長くなってしまっています。
過払い金請求の増加や経営状況の悪化を反映して、貸金業者も色々と主張をしてくることがあり、過払い請求事件が複雑化していくのかもしれません。

○貸金業者の経営状況
法律的な主張をされる分には、反論をすればよいのですが、それよりやっかいなのは貸金業者の経営状況が急速に悪化していることです。
突然つぶれたり、従業員が激減して電話に誰も出なかったりされると、理屈ではどうしようもありません。
テレビCMを流しているような業者でも、過払い金の5割しか払う資金がないといってくる状況となっています。
過払い金の返還が経営を圧迫していることも、影響しているかと思われます。
また、貸金業法改正により、総量規制(貸し付けてよい金額を、原則1社50万円までなどと規制するものです)や上限金利の引き下げがなされることが決まっています。このような規制強化のため、貸金業からの撤退や縮小が広まっているとも考えられます。
過払い金があるかもしれないという人は、急いで請求した方がよさそうです。

○SFCGの破綻
商工ローン大手の(株)SFCG(旧「(株)商工ファンド」から社名変更)が、平成21年4月21日東京地裁で破産開始決定を受けました。債権届出期間は7月21日までとされています。
債権者には、破産開始決定と債権届出書が送られることになっています。同社のホームページによると、6月上旬に発送予定とされています。
SFCGに対する過払い金返還請求権があると思われる方は、債権届出書を受け取って債権届出をする必要があります。
債権届出書の送付は、SFCGが提出した債権者一覧にしたがってなされますので、債権者一覧表に載っていないと、届出書を送ってもらえない可能性があります。その場合は、裁判所などに問い合わせる必要があります。
債権届出をするには、過払い金の額を記載しないといけません。過払い金の計算については、SFCGに取引履歴の開示を請求して、計算することになります。間に合わない場合は、返済予定表などから計算して、とりあえずの金額で届け出ることになろうかと思います。

また、SFCGからの借入れが残っている場合、アセットファイナンスや、日本新興銀行、ジャスティス債権回収から請求が来ることがあります。
SFCGから債権譲渡を受けたとして請求してくるわけですが、有効に債権譲渡がなされているか確認する必要があります。また、債権譲渡が破産手続き上で否認される可能性も危惧されています。
債権譲渡が有効でないとなると、債権者はSFCGになります。そのため、債権の譲受人に対してして返済も無効になる可能性もあります。その場合は、改めてSFCGに返済し、債権の譲受人から返済した分を返してもらうなどが必要になります。