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現代医学の限界(被害の実態から)

えらく大げさなタイトルです。

被害者側弁護士の立場で交通事故の損害賠償に関わっていると、いつも思うのがことさら「医学的な所見」を偏重する損保会社の対応です。
「医学的な所見」がないとして、被害者の症状や後遺障害が認められないとか、事故との因果関係がないとか主張します。

しかし、現代医学が交通事故による被害者の症状をすべて解明できているかといえば、とてもそのような到達点にはありません。
にもかかわらず、「医学的な所見」を求める損保会社の対応は、非科学的であり、傲慢ともいえます。

かつて、東京地方裁判所の専門部の部総括判事は、むち打ち損傷について、こう言いました(河邉義典「交通事故賠償の実務と展望」東京三弁護士会交通事故処理委員会編『新しい交通賠償論の胎動』)。

「むち打ち症について、医学的な所見の存否だけを見て賠償額を決するのは、適当ではな(い)」。
「被害者の主訴の内容、治療の経過、事故態様、主治医の意見等をも総合的に考慮して、後遺障害の存否・程度、治療の必要性・相当性などを認定する」。
これに対し、「賠償医学者側から『非科学的である』と批判されることがありますが、むち打ち症については医学的に未解明の部分がある以上やむを得ないといえます。また、むち打ち症には、心因的、社会的な要素が関係している場合が少なくないのですが、これが事故を契機として発症したものである以上、心因的、社会的な要素をすべて被害者本人の責めに帰するのは相当ではありません。」。

被害の実態から出発すべきです。