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裁判員裁判が始まります1

平成21年5月から、裁判員裁判が始まります。
裁判員裁判に向けて、各地で「模擬裁判」が行われています。

「どうして、やらないといけないのか?」「やりたくない。」といった声もあるようですが、この記事を見ているほとんどの人は裁判員に選ばれる可能性がある方だと思います。

そこで、「これだけは知っておきたい。」ということを紹介させていただきます。

なお、実際の裁判員制度の運用は、開始されてみないと分からないので、模擬裁判での手続きをもとに説明しています。

裁判員の選任 1 (呼び出し~裁判の日まで)

裁判員の候補者に選ばれると、裁判所から封書が届きます。

ただ、この段階ではまだ「候補者」で、裁判員になって実際に裁判に参加するとは限りません。
具体的には、介護などを理由に辞退が認められたり、事件の関係者などの公平な裁判に支障がある人であったり、抽選ではずれると、裁判員にはなりません。

なお、裁判員名簿に登録された際にも通知が来ます。これは、名簿に登録されるというだけで、具体的な事件ごとの候補者として選任されたという通知とは違います。

ちなみに、すでに裁判所を騙って電話をかけるなどしている、不審な業者が現れています。これは、個人情報を不正に取得したり、詐欺にかける「獲物」を見つけるためのものと思われます。

裁判所から来る封書には、アンケート用紙(質問票)が入っているので、記載して返送します。
アンケートの内容は、「辞退の申し出をしますか?」「どうして辞退したいのですか?」といったことが、主になると思われます。
書面の段階で辞退が認められれば、呼び出しを取り消してもらえます。呼び出しが取り消された場合は、裁判所に一度も行くことなく終了します。

ただ、簡単に辞退を認めると、ほとんどの人が辞退してしまいそうなので、原則として辞退はできないことになっています。
裁判所が、法令で定める辞退を認めるべき事由にあたると認定してくれないと、辞退はできないのです。

「辞退できないと困る。」という人は、辞退についての決まりを知っておくと役に立ちます。

まず、例外的に辞退が認められる事由を知っておきましょう。
辞退理由の主なものは、
 ・重い病気又はケガ
 ・親族や同居人の介護・養育
 ・事業上の重要な仕事を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある場合
 ・父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務がある。
 ・重い病気・ケガの治療を受ける親族・同居人の入通院への付き添いの必要がある場合v  ・妻・娘の出産への立ち会い、又はこれに伴う入退院に付き添う必要がある。
などです。

問題が多いのは、介護や子どもの世話、仕事だと思います。
裁判は平日の朝から夕方に行われますので、育児や仕事で忙しい人がかなりいると思います。
そのため、単に「忙しい」というでは辞退は認められないと思って下さい。

重要な用事で、他に代わってもらえる人がおらず、それをしないとかなりの損害が出ることが必要です。
言い換えれば、辞退したい場合
 ・用事が重要なものであること
 ・自分がするしかないこと
   例 子どもを預かってくれるところがない、従業員が少なくて頼める人がいない、自分以外に内容が分からない、別の日にすることもできないなど、
 ・損害
   例 契約を取り損ねて損害が出るなど
を意識しながら、ある程度詳しく書いて、資料をつけるなどして提出すると、認められやすくなると思います。

裁判員の選任2 (裁判の日)

裁判の日の初日に、候補者から裁判員を選任します。
まず、事件と関係がある人などは除かれます。

また、辞退の申し出がある人については、個別に裁判官が事情を聞き取って、法律で定められた辞退理由を満たしているかを判断します。

さらに、検察官・弁護人は、それぞれ4人まで「不選任」の申し出をすることができます。
不選任の申し出は、裁判員の候補者について、裁判員の選任対象から外してもらうとの申し出です。
この申し出があると、裁判員の選任からは外されてしまいます。
辞退が認められなかった場合でも、「裁判員に選ばれても出席はどうしても無理!!」とアピールすれば、不選任にしてくれるかもしれません。検察官・弁護人とも、裁判員が来てくれないために手続きが進まないと困りますので。

その後、残った候補者のなかから、これはコンピュータによる抽選などで、6~7名が裁判員として選任されます。

裁判員は6名ですが、選ばれた裁判員が病気や事故で、手続きに参加できなくなった場合に、あらかじめ補欠?の裁判員を選任することもあります。

裁判員に選ばれると、宣誓書に署名をして、それを読み上げます。

次回は、実際の裁判の手続きについてお話しします。