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労災保険を使うメリット-労働者に過失があっても減額されない

労災保険を使うメリットとして、特別支給金が損害額から差し引かれないことは説明しました(→こちら)。

さらに、労災保険では、労働者側に過失があっても、減額されないというメリットがあります。
規定上は、労働者に重過失があった場合には、30%の支給制限があるとされているのですが、そこは労働者保護を目的とする労災保険ですから、実際に支給制限をされることは少ないとされています。

ここで、労災保険に過失相殺がないとしても、そもそも労災保険では慰謝料が支払われないから、結果は変わらないのではないかという疑問を持たれたとしたら鋭いです。
労災保険では、過失による支給制限がないのに加え、加害者側(損保会社)への請求について、費目間流用が禁止されているので、メリットになるのです。

具体例で考えてみます。

損害が、治療費100万円+休業損害80万円+慰謝料60万円=240万円で、被害者の過失割合3割とします。
そうすると、労災保険を使わなければ、240万円×70%=168万円の損害賠償を受けられるのですが、実際には、治療費100万円が先に支払われているので、被害者には68万円しか支払われません。

これに対し、労災保険を使えば、まず、治療費100万円のうち70%=70万円は、労災保険が加害者側(損保会社)から回収しますが、足りない30%=30万円は、他の費目から回収することができないので、労災保険が被らなければなりません。
その上で、被害者は、休業損害80万円の70%=56万円と慰謝料60万円の70%=42万円の合計98万円の支払を受けることができます(休業損害のうち60%=48万円は労災保険の休業補償給付として支給を受けます。)。
さらに、特別支給金として80万円の20%=16万円の支給も受けられます。
合計114万円を得られるわけで、労災保険を使わなかった場合の68万円とは大きな違いが出ます。