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法テラス(法律扶助)の利用について

1  「法テラス」の「法律扶助」とは
最近、「法テラス」という機関があることについて、ご存じのお客様が増えました。しかし「法律扶助」の意味については、あまり知られていないように思います。
ご相談に来られたお客様に対し、私たち弁護士の方から、「よかったら、『法テラスの法律扶助制度』をご利用なさいませんか。」とお勧めすることがあります。そうすると、お客様の中には、「これから『法テラス』というところに自分で行き直して、また一から、別の弁護士に話を聞いてもらわなければならないのですか。」と質問なさる方が多いです。

たしかに、全国には、「法テラス」という事務所があって(長崎県でも、長崎市と佐世保市に1か所ずつ、離島に数か所あります。)、そこには、常駐の弁護士がいらっしゃいますから、「法テラスというところの弁護士に相談しろという意味かな。」と思われても仕方ないと思います。
しかし「法テラスの法律扶助を利用する。」という意味は、必ずしも、「事件を法テラスの弁護士に頼む。」という意味ではないのです。法テラスが提供している法律扶助制度(どんなものがあるかについては後記2でご説明します。)を、法テラス以外の、一般の法律事務所でも使うことができるのです。

ただ、全ての法律事務所で使えるかというと、そうでもなくて、法律事務所の中には法テラスとの提携関係がないところもありますので、そういう事務所では使うことができません。当事務所は、法テラスとの提携関係がありますので、法テラスの弁護士に相談・委任するときと同じようなシステムで、当事務所の弁護士に事件を相談したり、委任したりすることができます。

2 法テラスの法律扶助制度ではなにができるのか(主なもの)
【1】相談援助
同一事件について3回まで、無料で、法律相談を受けることができます。 【2】代理援助
事件を弁護士に委任するとき(裁判や調停、交渉などを弁護士にやってもらうとき)に、通常、委任当初に全額を納めなければならない弁護士費用(着手金や実費)を、一旦、法テラスに全額立て替えて払ってもらうことができます。
また、通常、弁護士に直接委任するときよりも、弁護士費用が安くすむことが多いです(例:破産手続きを委任する場合、通常約20万円以上かかる弁護士費用が15万円前後ですむことがあります。)。

3 法テラスの法律扶助制度は誰でも利用できるのか
上記2で述べたように、比較的安い金額で弁護士に委任できる制度ですから、生活に余裕のあるかたは利用できません。利用できるのは、法テラスが定めている資力基準を満たす方のみです。資力基準の目安を一部ご紹介します。

家族全員の合計月収による基準(次の金額以下でないと利用できません)
 ・1人暮らしの場合  月収18万2千円
 ・2人暮らしの場合  月収25万1千円
 ・3人暮らしの場合  月収27万2千円
 ・4人暮らしの場合  月収29万9千円

かならずしも、この基準を超えると使えないというわけではなく、家賃や教育費の支出額の一部を上記基準額に上乗せしたり、同居家族の収入を組み込まないで判断したりという例外があります。また、資力基準を充たしても、事件の内容によっては扶助制度利用できない場合があります。詳しくは弁護士にお尋ね下さい。

4 法テラスの法律扶助制度を使うにはどうしたらいいのか
まず、最初に法律相談をするとき(最初に弁護士に会って話をするとき)に、「法テラスの法律扶助制度を利用したいです。」とおっしゃってください。「法テラス」とだけ言っていただければ、通じますので、あまり気負わずおっしゃってください。
もっとも、上記3の基準を充たすような方に対しては、たいてい、弁護士の方から、「法テラスの法律扶助制度を使われませんか。」とお勧めしますので、心配いりません。

その後、相談援助(上記2・【1】)の場合は、申込書に簡単な記入をしてもらいます(お名前や月収など)。別途資料を提出していただく必要はありません。
代理援助(上記2・【2】)の場合は、申込書に記入していただいた上、住民票、給与明細などの、いくつかの資料を別途提出していただく必要があります。その資料を当事務所で受け取って、当事務所から法テラスに対して、「この方に代理援助制度を利用させて下さい。」という申込みをします。法テラスでは、その申込みを受けて資料を精査し、代理援助の可否を判断します(詳しい流れは次の4で説明します。)。

5 代理援助の流れ ~Aさんの例~

9月1日
 Aさん「借金がたくさんあって、もう払えない。弁護士に頼んで、債務の整理をしてもらいたい。」「けれども、弁護士費用はいくらかかるのかな。今まとまった金額を用意するのは無理だな。」
 ↓
 当事務所に相談(初回相談無料)
 ↓
 弁護士「債務整理の方法をいろいろ検討した結果、Aさんの場合、破産という方法がいちばんよいのではないでしょうか。」「弁護士費用については、法テラスの代理援助制度を使って、いったん法テラスに立て替えてもらうのはどうでしょうか。」
 Aさん「そうします。」

 

 Aさん、弁護士から、代理扶助の申込書を受け取り、必要書類等について説明を受ける。

9月2日
 Aさん、市役所に行くなどして、必要書類(住民票、給与明細など)を用意する
9月4日
 Aさん、記入済みの代理援助申込書や必要書類を、当事務所に提出する。
9月7日
 弁護士が、法テラスへ、Aさんから受け取った申込書・必要書類と、弁護士が作成した 事件調書(Aさんが抱えている債務の概要などをまとめたもの)を提出。
 ↓
 法テラス審査委員会が、書類を精査して判断。(審査の結果が出るまでには、2週間ほどかかることが多いです。)。
9月24日
 法テラス審査委員会が、Aさんについて、弁護士費用約15万円を立て替える旨、決定。
 ↓
 法テラスから当事務所へ、上記約15万円が入金される。
9月28日
 Aさんに当事務所へお越しいただき、契約書に記入していただきます。
 (このとき初めて、弁護士がAさんの破産申立手続きを正式に受任したことになります。)
 弁護士が、Aさんの債権者全員へ「受任通知」を送ります。
 この日から、弁護士は、Aさんの破産手続申立てのための準備を始めます。
 その後数か月間で、弁護士が申立書類を整え、裁判所にAさんの破産申立てを行います。
その後
 Aさんは、決定が出た月の翌々月(この例だと12月)から、毎月1万円ずつ、法テラスに(立て替えてもらった)上記約15万円を支払います。

このように、まとまった弁護士費用が用意できなくても、法テラスの制度を使って、費用は分割払いにして、弁護士に債務整理(破産や減額交渉など)を委任することができます。
Aさんの場合は債務整理でしたが、それだけでなく、離婚や遺産分割、土地の明け渡し請求など、悩みごとに応じて、訴訟や調停、交渉といった手続きを、法テラスの制度を使って、比較的軽い経済的負担によって弁護士に任せることができるのです。

ただし、このような法律扶助制度が利用できるかどうかは、基準に従って法テラスが決定することですので、ご期待に添えない場合もあります。また、立替金の償還は、滞りなく行っていただく必要がありますので、計画的なご利用をお願いいたします。