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死亡との因果関係が争われる場合(死亡診断書の記載から)

事故との死亡との因果関係が争われる場合(事故による死亡ではないといわれる場合)を記事にするといいながら、そのままになっていました。

事故と死亡との因果関係が争われる場合といっても、様々な場合があります。原総合法律事務所でも、事故と死亡との因果関係が争われたケースを何件も扱ってきましたが、その具体例は、改めて、ご紹介したいと思います。
「即死」のような場合は、もちろん、事故と死亡との因果関係が認められるのは当然ですから、事故と死亡との因果関係が争われるのは、典型的には、事故後、亡くなるまでの期間が数か月にも及ぶような場合です。

この事故と死亡との因果関係について、まず、保険会社(自賠責損害調査事務所)が注目するのが、医師が作成する死亡診断書の記載です。普通は、死亡届とセットになっていて、A3版の左が死亡届、右が死亡診断書になっています(稀に、A4版の死亡診断書だけの用紙を使う医師もいます。)。

この死亡診断書の記載方法については、厚生労働省の死亡診断書記入マニュアルがあるのですが(2020年(令和2年)度版はこちら)、医師によっては、ばらつきがあったりします。
そのうち、重要なのが、「死亡の原因」と「死因の種類」欄です。

「死因の種類」欄には、「病死及び自然死」、「外因死」、「不詳の死」といった区別があり、「不慮の外因死」の中に「交通事故」という選択枝があります。ここに、○印をあればいいのですが、例えば、「病死及び自然死」に○印があったりすると、事故と死亡との関係が問題とされます。
ちなみに、上記マニュアルでは、「交通事故」について、「運転者、同乗者、歩行者のいずれかを問わず、交通機関(自動車、自転車、鉄道、船、航空機等)の関与による不慮の死亡」と書かれており、「関与」があれば十分なのですが、「関与」の捉え方が医師によってばらつきがあるような気がします。また、死亡診断書の欄外には、交通事故は、「事故発生からの期間にかかわらず、その事故による死亡が該当します。」とわざわざ注記されているのですが、事故から例えば数か月も経つと、死因が交通事故といってもいいか、迷われることがありそうです。

「死亡の原因」欄は、直接死因→その原因→その原因→その原因と、4段階で死因を書く欄があり、別に、直接には死因に関係しないが、その経過に影響を及ぼした傷病名等という欄もあります。ここに、例えば、次のような記載があれば、「死因の種類」も「交通事故」でしょうし、当然、事故による死亡と判断されます。

  • 直接死因:出血性ショック→その原因:大腿骨開放骨折
  • 直接死因:脳ヘルニア→その原因:硬膜下血腫→その原因:頭部打撲

また、事故から、ある程度の時間が経っていても、こんな場合なら、「死因の種類」も「交通事故」になっていて、事故による死亡と判断されるだろうと思います。

  • 直接死因:誤嚥性肺炎→その原因:脳挫傷→その原因:頭部打撲