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治療費の打ち切り時期について(最近の傾向)

弁護士原幸生による記事です。

 

交通事故にあった場合、相手方が任意保険に加入していれば、事故後通院する際の治療費については、相手方加入の保険会社が、直接、医療機関へ支払う対応をします(このような任意保険会社の対応を「一括対応」と言います。)。
このような一括対応は、保険会社が任意に行っているサービスにすぎません。
あくまでもサービスであって、被害者から、保険会社に対して、一括対応をすべきと請求する権利はないので、この点は注意が必要です。したがって、自社サービスをいつ打ち切るかも、保険会社内の裁量的判断によるということになります。
たとえば、MRI等の画像所見のない「むち打ち症」の場合(「むち打ち症」には画像所見がないことの方が多いでしょう)、保険会社の一括対応は、事故後数ヶ月で終了として、治療費が打ち切られることが多いでしょう。

 

具体的な一括対応の期間については、事案毎に異なるため、ケースバイケースになりますが、実務上、概ね6か月(軽い事故であれば3か月)と言われているようです。
ただし、当事務所の扱う案件で、ここ2、3年の実感としてあるのは、軽い事故の場合(車両修理費が十数万~数十万円の下の方)は1か月や2か月、中程度の事故(車両修理費が50万円前後)であっても、3か月や4か月程度で打ち切りを通告されているケースが目立ちます。
もちろん、事案によりけりです。MRI等の画像所見のないむち打ち症でも、8か月以上通院し、当該通院期間の治療費については、全額、保険会社から支払われていたような例もありました(もっとも、このケースは、通院頻度が少なく治療費が嵩んでいなかったという事情がありました。案の定、治療終了後、実際の交渉に及ぶと、通院実日数が少ないという理由で、傷害慰謝料の金額について、頑強に低額な水準を主張してきましたので、一般化できる例ではないでしょう。)。

 

なお、一括対応の終了時期(治療費打ち切り時期)については、丁寧な保険会社担当者であれば、打ち切りの1か月程度前から被害者に対して、予告・説明しておきますが、打ち切り直前の時期に、「治療費については今月末で打ち切ります」と、突然言い渡されるケースもあります。
説明のタイミングについては、個々の担当者によって様々でしょうが、いずれにせよ、任意保険会社における一括対応の扱いは、数年前に比べると、交通事故被害者にとっては、厳しくなっている印象です。

当事務所で扱う事件でも、「治療費が突然打ち切られたがどうすればよいか」「治療費が打ち切られたらもう通院できないのか」「弁護士に頼めば打ち切りの時期を延長することはできるか」等の相談は多いところです。
このような一括対応終了(治療費打ち切り)に対する具体的な対応については、あらためて別の記事で紹介します。