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そんなに大きな怪我ではないのに、激しい痛みがいつまでも続くことがあります。交通事故や労災、また、手術後に表われ、その診断は難しく、そのために裁判でも争われることが多い病態です。
原総合法律事務所でも、交通事故や医療過誤で何度か扱ったことがありますが、何回扱っても簡単ではありません。

まず、その呼び名からして混乱しています。

最近まで、けがや手術後の激しい痛みに対して、カウザルギーとか反射性交感神経性ジストロフィー(Reflex Sympathetic Dystrophy=RSD)とかいう病名が付けられていました。
もともと、カウザルギーとは、銃弾による末梢神経損傷後の耐え難い痛みに対して使われていました。
その後、この症状を反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)と呼ぶのが一般になってきました。
日本では、多分、カウザルギーを含んでRSDという用語を使うのが普通だったと思います。

これに対し、世界では、1986年の国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain=IASP)が、カウザルギーとRSDとを区別して、カウザルギーを「末梢神経損傷の後に四肢に起こる灼熱痛」と定義し、RSDを「骨折はあってもよいが、主要神経損傷を伴わない交感神経の過剰活動性を伴った四肢の持続する痛み」と定義していました。

ここで、既に、世界の用語と日本国内の用語が食い違っていたように思うのですが、その後、世界では、更に1994年に、国際疼痛学会が新しくComplex Regional Pain Syndrome=CRPSを定義しました。
その後の研究によって、RSDの患者の交感神経は必ずしも緊張状態にはなく、RSDという用語が不正確だと考えられたからです。
CRPSは、typeⅠ、typeⅡに分けられ、以前RSDと呼ばれていたものはtypeⅠに、カウザルギーと呼ばれていたものはtypeⅡにあたるとされました。

でも、今でも多くの診療録、診断書にRSDと書かれているのを目にするのです。