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前十字靱帯損傷のMRI所見

以前も書いたことがあるのですが(→こちら)、また問題になるケースを扱いました。

文献などを見ると、靱帯損傷の90%以上はMRIで分かるとか書いてあります。
もっとも信頼されている「前十字靱帯(ACL)損傷診療ガイドライン2012」では、前十字靱帯損傷では、MRIによる診断の正確性が97~98%とされています(→こちら)。

そうすると、MRIの所見がなければ、まず前十字靱帯損傷ではないということになりそうです。

ところが、実際に相談を受けていると、MRI検査の結果、所見がないのに、前十字靱帯損傷の診断を受けている人は、決して少なくありません。

最近のケースでは、MRI検査の読影医は、前十字靱帯その他の靱帯に明らかな断裂は認めないと報告しているのに、主治医が、前十字靱帯損傷の明らかな断裂はないが、たるみがあると説明し、前十字靱帯損傷の診断をしている例がありました。

何となく、ガイドラインなどは、経験豊富な読影医が、いい機械(MRIの解像度は、テスラという単位で分かります。)を使った場合の報告が基礎になっているのではないかと感じていました。

ウェブ上の情報ですが、前十字靱帯のMRI画像で、連続性がなく、損傷部位が特定できる明瞭前十字靱帯損傷と、連続性があり、損傷部位が特定できない不明瞭前十字靱帯損傷があるとするものがありました。
そして、不明瞭前十字靱帯損傷では、2次所見を検討するとされていました。ちなみに、難しいので項目だけですが、2次所見として、脛骨前方偏位、外側半月板露出、PCL弓状変形などが挙げられていました。

そうすると、靱帯の連続性がある不明瞭前十字靱帯損傷だと、「明らかな断裂は認めない」とされ、前十字靱帯損傷のMRI所見が否定されている例もあるのではないかと思うのです。